コンタクトレンズは実際に目に装着して使用するものだけに、専用の洗浄液や保存液を用いて常に清潔な状態を保つことが必要です。しかし、そういったケア用品を持ち合わせていないときに誤ってレンズを落下させてしまった場合であったとしても、決して水道水でレンズを洗ってはいけないのです。基本的にコンタクトは生理食塩水と同じ約0.9パーセントの塩分濃度でできているのですが、水道水は塩分は一切含んでいません。そのため、浸透圧の関係でレンズが水道水を吸収してしまい、レンズが変形して膨れてしまうのです。

また、水道水には塩素をはじめとした不純物が混じっており、その不純物までもがレンズに吸収されてしまいます。すると、その不純物の影響によって目が傷ついてしまうなど何らかの障害が起きる可能性があり、中でも最も危険だと思われるのがアカントアメーバ角膜炎なのです。水道水は誰もが安心して使用できるように塩素によって消毒が行われているのですが、まれに除去しきれなかった微生物が残っている場合もあります。そして、その微生物のひとつがアカントアメーバで、この微生物は恐ろしいことに角膜を食べる性質を持つのです。そのため、重度の視力障害を引き起こすだけじゃなく、最悪の場合には失明の危険性もあります。ですから、アカントアメーバ角膜炎にかからないためにも、基本的な予防策としてコンタクトを水道水で洗ってはいけないのです。